Kotlinの初心者向け問題3-2:HashSetとTreeSetの違いを理解しよう
この問題を解くために必要な知識:
【レベル1~2の知識】
コメントの書き方、変数と定数、基本データ型、算術演算と論理演算、入力と出力、import文、配列、分岐処理(if、if~else、when)、繰り返し処理(for、while、do~while)、Null安全、スマートキャスト、関数の定義と呼び出し、関数の戻り値、関数のオーバーロード、ラベルとジャンプ、例外処理、クラスの定義と使用、インスタンス、コンストラクタ、プロパティ、クラスの継承、クラスの拡張
【レベル3の知識】
コレクションの基礎、リストコレクション(MutableList、ArrayList)、セットコレクション(HashSet、MutableSet、TreeSet)、マップコレクション(HashMap、MutableMap、TreeMap)
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Kotlinの文法「HashSetとTreeSet」とは
ここではHashSetとTreeSetの意味や使い方を復習します。必要ない方はここをクリックして練習問題へ飛びましょう。
Kotlinでは、コレクションの一種であるセットを使って、重複する要素を持たないデータを管理することができます。
特に、HashSetとTreeSetはよく使われるセットです。これらの違いと使用例を解説していきます。
HashSetとは?
HashSetは、Kotlinで提供されるセットの一つで、要素をハッシュテーブルを使って管理します。こ
れにより、要素が重複しないように管理され、順序が保証されない代わりに、高速な検索や挿入、削除が可能です。
たとえば、同じ要素が複数回追加されても、HashSetは重複を許さず、最初に追加された1つの要素のみを保持します。
// HashSetの例 val hashSet = hashSetOf("apple", "banana", "orange", "banana") println(hashSet) // 出力: [apple, banana, orange]
この例では、”banana”が2回追加されていますが、HashSetは重複を認めないため、結果として1回だけ保持されています。順序は特に保証されていません。
TreeSetとは?
TreeSetは、HashSetと似ていますが、要素を自動的にソートする特徴を持っています。
TreeSetに追加された要素は常に昇順に並べ替えられ、取り出す際にもその順序が保証されます。
ただし、ハッシュテーブルを使用していないため、HashSetよりもやや処理速度は遅くなります。
// TreeSetの例 val treeSet = sortedSetOf("apple", "banana", "orange", "banana") println(treeSet) // 出力: [apple, banana, orange]
この例では、重複した”banana”は自動的に削除され、さらに、要素が辞書順(アルファベット順)にソートされています。
HashSetとTreeSetの違い
HashSetとTreeSetの主な違いは、要素の順序とパフォーマンスです。
HashSetは要素の順序を気にせず高速な操作が可能で、特に大量のデータを扱う場合に有効です。
一方、TreeSetはデータを順序通りに保持しますが、その分操作速度がやや遅くなります。
例えば、データを追加する際に自動的にソートが行われるため、要素の挿入速度はHashSetよりも遅くなる傾向があります。
次に、どちらのセットを選ぶべきかを考えるポイントをいくつか挙げます。
- HashSetを選ぶ場合:データの順序が重要でない、かつ高速な挿入や削除が求められる場合。
- TreeSetを選ぶ場合:要素を常にソートした状態で保持し、取り出す際にも順序が必要な場合。
使用例:HashSetとTreeSetの使い方
ここでは、実際のKotlinコードを使って、HashSetとTreeSetの使い方を紹介します。
// HashSetの例 val hashSet = hashSetOf("apple", "banana", "orange", "banana") println("HashSet: $hashSet") // 出力: [apple, banana, orange] // TreeSetの例 val treeSet = sortedSetOf("apple", "banana", "orange", "banana") println("TreeSet: $treeSet") // 出力: [apple, banana, orange]
- HashSetでは、要素が重複する場合でも、1つだけ保持され、順序は保証されません。
- 一方、TreeSetでは、重複した要素は削除され、要素は自動的にソートされて表示されます。
まとめ
HashSetとTreeSetは、Kotlinにおける重要なセットコレクションです。
HashSetは高速な操作が求められる場面で便利で、順序を気にせずデータを扱うことができます。TreeSetはデータを順序通りに管理する必要がある場合に役立ちます。
両者の違いを理解し、使い分けることで、効率的にデータを管理できるようになります。
Kotlin練習問題3-2:HashSetとTreeSetの違いを理解しよう
HashSetとTreeSetの違いを理解するために、人の名前を格納し、表示するプログラムを作成しましょう。
この問題の要件
以下の要件に従ってプログラムを作成してください。
- 複数の生徒の名前を
HashSet
とTreeSet
にそれぞれ格納する。 - 生徒の名前は
Scanner
によるユーザー入力で取得する。 HashSet
とTreeSet
の並び順の違いが確認できるよう、内容を表示する。
ただし、以下のような実行結果となること。
----- ↓出力される結果の例↓ -----
生徒の名前を入力してください: 田中 生徒の名前を入力してください: 鈴木 生徒の名前を入力してください: 佐藤 HashSetを使って記載: 田中 鈴木 佐藤 TreeSetを使って名前のアルファベット順に記載: 佐藤 鈴木 田中
----- ↑出力される結果の例↑ -----
この問題を解くヒント
1からコードを組み立てることが難しい場合は、以下のヒントを開いて参考にしましょう。
正解のコードは上から順に以下のような構成となっています。
1.main関数の定義
1-1. HashSetオブジェクトの作成
1-2. 3人の生徒の名前を入力するためのforループ
1-2-1. 生徒の名前の入力を促すprint文
1-2-2. 入力された名前を読み込みHashSetに追加
1-3. TreeSetオブジェクトの作成
1-4. HashSetの全要素をTreeSetに追加
1-5. HashSetの内容を表示するprint文
1-6. TreeSetの内容を表示するprint文
2.printSet関数の定義
2-1. Setの全要素をループで表示するforループ
以下のコードをコピーし、コメントに従ってコードを完成させて下さい。
fun main() { // 生徒の名前を格納するHashSetを作成 val studentHashSet = /* @@@ここにHashSetの作成コードを書いてください@@@ */ // 3人の生徒の名前を入力してもらう for (i in 1..3) { print("生徒の名前を入力してください: ") val name = readLine() ?: "" // readLine()を使用 studentHashSet.add(name) } // 生徒の名前を格納するTreeSetを作成 val studentTreeSet = /* @@@ここにTreeSetの作成コードを書いてください@@@ */ studentTreeSet.addAll(studentHashSet) // HashSetの内容を表示 println("HashSetを使って記載:") printSet(studentHashSet) // TreeSetの内容を表示 println("TreeSetを使って名前のアルファベット順に記載:") printSet(studentTreeSet) } // Setの内容を表示する関数 fun printSet(set: Set<String>) { for (name in set) { println(name) } }
このヒントを見てもまだ回答を導き出すのが難しいと感じる場合は、先に正解のコードと解説を見て内容を理解するようにしましょう。
解答例
この問題の一つの正解例とそのコードの解説を以下に示します。
正解コードの例
例えば以下のようなプログラムが考えられます。
********************
fun main() { // 生徒の名前を格納するHashSetを作成 val studentHashSet = hashSetOf<String>() // 3人の生徒の名前を入力してもらう for (i in 1..3) { print("生徒の名前を入力してください: ") val name = readLine() ?: "" // readLine()を使用 studentHashSet.add(name) } // 生徒の名前を格納するTreeSetを作成 val studentTreeSet = sortedSetOf<String>() studentTreeSet.addAll(studentHashSet) // HashSetの内容を表示 println("HashSetを使って記載:") printSet(studentHashSet) // TreeSetの内容を表示 println("TreeSetを使って名前のアルファベット順に記載:") printSet(studentTreeSet) } // Setの内容を表示する関数 fun printSet(set: Set<String>) { for (name in set) { println(name) } }
********************
コードの解説
このKotlinコードでは、HashSetとTreeSetというデータ構造を使って、生徒の名前を管理し、名前を入力してもらう処理を実装しています。
それぞれのセットの特徴や、どのようにして名前をアルファベット順にソートするかを理解しましょう。
メイン関数の開始
fun main() { // 生徒の名前を格納するHashSetを作成 val studentHashSet = hashSetOf<String>()
main
関数は、Kotlinプログラムのエントリーポイントです。この関数の中で処理が開始されます。
まず、HashSet
を使って生徒の名前を格納するためのセットを作成しています。HashSet
は要素の順序を保証しませんが、重複したデータを持たない特徴があります。
生徒の名前を入力
// 3人の生徒の名前を入力してもらう for (i in 1..3) { print("生徒の名前を入力してください: ") val name = readLine() ?: "" studentHashSet.add(name) }
for
ループを使って、3人の生徒の名前を入力してもらいます。readLine()
はコンソールから文字列を入力するための関数です。
入力された名前はHashSet
に追加され、重複があれば自動的に排除されます。
TreeSetの作成とHashSetのコピー
// 生徒の名前を格納するTreeSetを作成 val studentTreeSet = sortedSetOf<String>() studentTreeSet.addAll(studentHashSet)
ここでは、TreeSet
(KotlinではsortedSetOf
)を使って、生徒の名前をアルファベット順に並べます。
TreeSet
は常に要素をソートして管理するため、格納された順序に関係なく、名前が自動的に整列されます。
この例では、先に入力されたHashSet
の内容をTreeSet
にコピーしています。
HashSetの内容を表示
// HashSetの内容を表示 println("HashSetを使って記載:") printSet(studentHashSet)
HashSet
に保存された名前をそのまま表示します。HashSet
は順序を保証しないため、表示順序は入力順とは限りません。
TreeSetの内容を表示
// TreeSetの内容を表示 println("TreeSetを使って名前のアルファベット順に記載:") printSet(studentTreeSet)
TreeSet
に格納された名前を表示すると、常にアルファベット順にソートされて出力されます。
TreeSet
は順序が保証されるため、このような処理が簡単に実現できます。
Setの内容を表示する関数
fun printSet(set: Set<String>) { for (name in set) { println(name) } }
この関数は、HashSet
やTreeSet
に含まれる要素を順番に表示するための簡単な関数です。セットの要素を1つずつ取り出してコンソールに出力します。
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この問題への質問・コメント
この問題を作成するにあたりAIを活用しています。
問題ないことは確認していますが、もし間違いや表現の違和感などありましたら、ご指摘頂けると大変助かります。