Flask入門|Flaskとは何か【チャプター1-01】

ながみえ

Chapter1:Flask入門編
 ・Chapter1-1:Flaskとは何か ◁今回はここ
 ・Chapter1-2:Flaskの開発環境を構築しよう
 ・Chapter1-3:初めてのFlaskコードを書いてみよう
 ・Chapter1-4:ルーティングを理解しよう
 ・Chapter1-5:動的ルーティングを理解しよう
Chapter2:Jinja2入門編
Chapter3:フィルター編
Chapter4:フォーム編
Chapter5:データベース編
Chapter6:Flaskの便利機能編
Chapter7:アプリ開発編

Pythonは実に多くの分野で活用されていますが、その中でも特に人気が高いのが「Webアプリケーションの開発」です。

ニュースサイト、SNS、ネットショップ、チャットツール……。私たちが日常的に使っているこれらのサービスの多くは、「Webアプリケーション」と呼ばれる仕組みで作られており、Pythonを使って構築されているものも少なくありません。

そして、そんなWebアプリケーションをPythonで作るときに登場するのが「Flask(フラスク)」というフレームワークです。

この章では、Flaskを本格的に学び始める前に押さえておきたい「前提知識」をわかりやすく解説していきます。

  • そもそもフレームワークって何?
  • Flaskってどんなことができるの?
  • Djangoとは何が違うの?
  • MVCとかMVTってよく聞くけど、どういう意味?
  • どうして今、Flaskを学ぶのがオススメなの?

こんな疑問に一つずつ丁寧に答えていきますので、どうぞリラックスして読み進めてくださいね。

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Python開発で欠かせないフレームワークの基本知識

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フレームワークってどういう意味?

プログラミングの世界でよく聞く「フレームワーク(framework)」という言葉。
これは直訳すると「枠組み」や「骨組み」といった意味を持ちます。

では、Web開発におけるフレームワークとは何かというと…

「Webアプリを効率よく、安全に、少ないコードで開発するための仕組み」です。

もっとざっくり言えば、「よくある処理をあらかじめ用意してくれている便利セット」とも言えます。

たとえばWebアプリを一から作ろうとすると、以下のような処理が必要になります:

  • ブラウザからのリクエスト(アクセス)を受け取る
  • そのリクエスト内容に応じた処理をする
  • 必要なHTMLを返す
  • エラー時の処理をする
  • データベースと連携する など…

これを全部自分で書くのは非常に大変ですし、ミスも起こりやすいです。

フレームワークは、そういった“よくある処理”を共通のルールでまとめて提供してくれます。

フレームワークの基本的な特徴

フレームワークにはいろいろな種類がありますが、多くのものが以下のような特徴を持っています:

特徴内容
共通のルール(構文や構造)どこに何を書くかがある程度決まっている
再利用可能な機能ルーティングやテンプレートなどが組み込まれている
セキュリティやパフォーマンスの強化自前で作るより安全で高速な処理が可能
生産性の向上少ないコードで多くのことができる

初心者の方が最初に「自由に作れる!」と感じる反面、「どこに何を書くのか決まっているって難しそう…」と不安になるかもしれません。

でも安心してください。フレームワークは“慣れ”です。きちんと使い方を理解すれば、自分の書いたコードがあっという間に立派なWebアプリになるという面白さが味わえます!

Web系フレームワークの一例

以下は、Pythonに限らず多くの言語で使われている有名なWebフレームワークの例です:

言語フレームワーク名
PythonFlask, Django
JavaScriptExpress(Node.js)
PHPLaravel
RubyRuby on Rails

この中でも、Flaskは特に「シンプル」「覚えやすい」「自由度が高い」という理由から、Python初心者にとって最適なフレームワークとされています。

Flaskの特徴とDjangoとの違いを初心者向けに解説

Flaskの基本構成を説明した図。アプリケーションとJinja2テンプレートが連携し、テンプレートエンジンでHTMLを生成し、ブラウザに送信する流れを示している。

Flaskって何?

Flask(フラスク)は、PythonでWebアプリケーションを作るための軽量なWebフレームワークです。

「軽量」と言っても、できることはたくさんあります。

シンプルな構造を持ちながら、必要に応じて機能を拡張できるため、学びやすさと柔軟性を兼ね備えた人気のフレームワークとして知られています。

公式サイトでも以下のように紹介されています:

“Flask is a micro web framework written in Python.”
→ FlaskはPythonで書かれた「マイクロな(最小限の)」Webフレームワークです。

Flaskでできること

Flaskを使えば、以下のようなWebアプリケーションをPythonだけで作ることができます:

  • 💬 ブログや掲示板のような投稿型サイト
  • 📋 お問い合わせフォームのあるページ
  • 📡 外部APIと連携するダッシュボード
  • 👤 ユーザー登録・ログイン機能を持つ会員制サイト
  • 📱 JSONを返すREST API など

「HTMLを書いてページを作るだけ」ではなく、ユーザーの入力を受け取り、それに応じて処理をする、本格的なアプリが作れるのがFlaskの魅力です。

Flaskの特徴と魅力

Flaskは他のフレームワークスと比較すると、以下のような特徴があります。

特徴内容
シンプルファイル数が少なく、構成が直感的
柔軟開発スタイルの自由度が高い
拡張性必要な機能を後から自由に追加できる
学びやすい最小限のコードで動作させられるので初心者に最適

例えば「Hello, World!」を表示するだけなら、Flaskではたった5〜6行のコードで可能です(これは後のチャプターで解説します)。

Djangoとの機能・学習コストの違い

PythonのWebフレームワークとしてよく比較されるのが Django(ジャンゴ)です。

Djangoは「電池付き(batteries included)」と言われるほど、多機能なフレームワークです。ログイン管理、データベース連携、管理画面などが最初からすべて入っています。

項目FlaskDjango
構成最小限・自由多機能・厳密な構造
学習難易度優しめやや高め
拡張性自由に追加標準機能中心
初心者向け度△(中級以上向け)

つまり、Flaskは「軽くて自由」、Djangoは「重厚で強力」といったイメージです。

最初にWeb開発の基本を学ぶなら、Flaskから始めるのが圧倒的にオススメ です!

MVCとMVTの仕組みを理解!Flaskではどちらを使う?

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MVCモデルをわかりやすく理解する

Webアプリケーション開発においてよく使われる設計の考え方に「MVCモデル」というものがあります。

これはアプリの構造を「役割ごとに3つに分ける」ことで、見通しを良くし、保守・管理をしやすくする設計パターンです。

MVCは以下の3つの役割から成り立っています:

項目名前役割
MModel(モデル)データやビジネスロジックを担当。例:データベースとのやりとり
VView(ビュー)ユーザーに見せる画面部分。例:HTMLテンプレートなど
CController(コントローラー)ユーザーからの操作を受け取り、ModelとViewを仲介

より分かりやすくまとめると

名前役割「商品一覧ページを表示するアプリ」なら
Controller何をするか決める人ユーザーがURLにアクセス → Controllerが反応
Modelデータを取りに行く人商品情報をModelから取得
View見た目を整えて表示する人それをViewでHTMLに変換して表示

という流れになります。

MVTモデルとは?Djangoに見られる構造

Flaskと同じくPython製のDjangoでは、「MVC」とよく似た考え方である「MVT(Model-View-Template)」という設計が採用されています。

MVTでは「Controller」の代わりにTemplate(テンプレート)が使われるように見えますが、実際には「View」がControllerの役割を兼ねています。

項目名前役割
MModelデータや処理の中核。データベース操作など
VViewユーザーからのリクエストを処理し、データをテンプレートへ渡す
TTemplateHTMLなど、最終的な表示内容を定義する

つまりMVTでは「実際にユーザーが見る部分(View)」の意味合いがHTMLテンプレート(Template)に移動しているイメージです。

FlaskはMVC?それともMVT?

Flaskには公式に「MVC」や「MVT」という記述はありませんが、アプリの構成は基本的にMVCに近いスタイルで作られます。

実際にFlaskアプリを作ると、

  • models.py → データの定義(Model)
  • templates/フォルダ → 表示部分のHTML(View)
  • routes.py(またはapp.py)→ URL処理とデータ制御(Controller)

といった形で自然とMVC的な構造になっていきます。

したがって、Flaskを学ぶことで自然と「MVC的な設計」に慣れていくことができ、他のフレームワークへの応用もしやすくなります。

Python学習者にFlaskをおすすめする3つの理由

Pythonの基礎を学んだあと、「次に何を学べばいいの?」と迷う人は少なくありません。
機械学習?データ分析?それともWeb開発?

その中でも、Web開発を学ぶことには多くのメリットがあります。

そしてWeb開発を始めるなら、Flaskはまさにベストな第一歩と言えるのです。

理由①:Pythonを使える人なら誰でも入りやすい

FlaskはPythonで書かれたPythonらしいフレームワークです。

コードもシンプルで見慣れた構文が多いため、「新しい言語を学ぶ感覚」ではなく、今までのPythonの知識を活かしながら学べます。

たとえば関数定義や変数、if文・for文など、Pythonの基礎文法がそのまま活用できます。
そのため「学んだことを実践する場」としても最適です。

理由②:すぐに動くアプリで成果を実感できる

Flaskでアプリを作ると、自分の書いたコードがすぐブラウザに反映されます。

「コードを書いた → サイトが変わった!」というリアルタイムの反応は、学習のモチベーションを大きく高めてくれます。

これは、ターミナルだけで動かすプログラムとはまた違った楽しさです!

理由③:実務やポートフォリオに直結する技術力がつく

Flaskを通じて、次のような実務でも通用するWeb開発の基礎スキルが身につきます:

  • URLと処理を結びつける「ルーティング」
  • ユーザーの入力を受け取る「フォーム処理」
  • 表示とロジックを分ける「テンプレートエンジン(Jinja2)」
  • データを保存・活用する「データベース連携」
  • 開発しやすくする「仮想環境の利用」 など

Flaskで一通りのアプリを作る経験は、のちにDjangoやFastAPIを学ぶ場合にも非常に役立ちます。

まとめ

Flaskの基本構成を説明した図。アプリケーションとJinja2テンプレートが連携し、テンプレートエンジンでHTMLを生成し、ブラウザに送信する流れを示している。

Flaskを学ぶことで、「Webアプリってこうやって作られているんだ!」という仕組みを体感しながら、現実に使えるスキルを一歩ずつ身につけることができます。

次の章からは、いよいよ実際に開発環境を整えてコードを書き始める準備に入っていきます!

ぜひこの勢いのまま、一緒に進めていきましょう!

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FAQ|Flaskの基礎理解を深める

Q
Q1. Flaskは初心者でもすぐに使えるようになりますか?

はい、Pythonの基礎ができていれば、Flaskは比較的すぐに始められます。最小限のコードで動作するアプリが作れるので、学習のモチベーションが保ちやすいのも魅力です。

Q
Q2. FlaskはどんなWebアプリに向いていますか?

Flaskはブログやポートフォリオサイト、APIなどの小~中規模アプリに適しています。構成がシンプルなため、自分で機能を柔軟に組み合わせたい人に向いています。

Q
Q3. FlaskとDjangoはどう使い分ければ良いですか?

小規模で柔軟な構成を自分で決めたいならFlask、大規模で標準的な構成や管理画面を活用したいならDjangoが向いています。学習段階では、まずFlaskでWeb開発の仕組みを体感するのがおすすめです。

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