【Dify】Difyの種類と運用にかかる費用まとめ

ながみえ

Dify(ディファイ)は、生成AIアプリを「早く作って試す」ための仕組みがよく揃っていて、学習から社内ツールの開発まで幅広く使われています。

いっぽうで、いざ運用を考え始めると「結局、毎月いくら掛かるの?」「無料って聞いたけど本当に?」と迷いやすいポイントも出てきます。

というのも、Dify運用にかかる費用はDify本体の料金だけで決まらないからです。

多くのケースで、LLM(モデルAPI)の従量課金や、サーバー・監視などの運用コストが上乗せされます。

この記事では、Difyの提供形態(Cloud/セルフホスト/商用セルフホスト)ごとに、費用の考え方と運用コストの落とし穴を整理します。

Difyの教科書|生成AIアプリ開発の基礎から実践まで

現在、当サイトではDifyを用いた生成AIアプリ開発の学習カリキュラムを制作中です。

完全な素人でもアプリを作れるようになり、業務の効率化や副業での小遣い稼ぎに活用できることを目指します。

ご期待ください^^

もくじ

どれを選ぶべき?|Difyには大きく3系統の種類がある

Difyはざっくり言うと、以下の3系統に分けられます

  • Difyが運用してくれるクラウド版
  • 自分でサーバーに入れて運用するOSS版
  • 商用ライセンスで自社運用する版

ここを先に理解しておくと、あとで料金や運用費を見積もるときに迷いにくくなります。

特に重要なのは、「どれを選ぶか」で固定費と変動費の割合、そして運用の責任範囲が大きく変わることです。

次の比較表で、違いを一気に俯瞰してみましょう。

表で比較|Cloud / セルフホスト / 商用セルフホスト

まずは、費用に直結しやすいポイント(運用負担・コスト構造・向いている人)を中心に整理します。

表を見たあとに、それぞれの特徴をもう少し具体的に説明します。

比較軸Dify Cloud
(SaaS)
セルフホスト
(Community / OSS)
商用セルフホスト
(Premium / Enterprise)
提供形態Difyが運用するクラウドにログインして使う自分のサーバー(VPS/クラウド/オンプレ)に構築して運用自社環境(例:AWS等)で商用版を運用
(ライセンスあり)
初期導入のしやすさ最速(アカウント作成だけ)Docker等の構築が必要Premiumは比較的導入しやすい/
Enterpriseは設計が必要になりがち
月額費用の中心Dify利用料(定額)+ LLM従量(別)インフラ費+運用工数+ LLM従量ライセンス費+インフラ費+運用工数+ LLM従量
運用負担(保守/監視/障害対応)低い(基本はDify側)高い(全部自分で見る)中〜高(自社運用。契約内容で変動)
カスタマイズ性制約あり(範囲内で設定)高い(自由度最大)高い
(ただし契約・サポート範囲に依存)
セキュリティ/監査要件への適合要件次第(外部SaaS利用になる)自社設計次第(責任も自社)適合させやすい
(統制の選択肢が増えがち)
データの置き場所基本はクラウド側自社環境自社環境
(要件に合わせやすい)
向いている人学習〜PoC、小規模運用、最短で試したいデータ制約がある、独自要件が強い、運用できる体制がある組織導入、統制強め、SaaSが難しいが運用品質も担保したい
典型的な“落とし穴”LLM従量が想定より増える/プラン上限人件費・保守工数が膨らむ/監視不足ライセンス+インフラで予算が跳ねる/要件定義が重い

表の見方としてはシンプルで、

「運用をできるだけ軽くしたいならCloud」
「自由度とデータ要件を優先するならセルフホスト」
「統制や組織要件が強いなら商用セルフホスト」

という整理が基本になります。

また、どの選択肢でも共通して意識したいのが、費用が次の式で決まりやすい点です。

月額コスト =(Dify利用料/ライセンス)+(LLMの従量課金)+(インフラ費)+(運用工数)

この “足し算” のどこが大きくなるかが、提供形態によって変わります。

① Dify Cloud(SaaS)の特徴

Dify Cloudは、Dify側がインフラや基本運用を担ってくれるタイプです。

(当サイトで学習する場合はこれを使用します。)

アカウントを作ってすぐにアプリを組み立てられるので、学習やPoC(価値検証)では特に強い選択肢になります。

費用面では「Difyのプラン料金(定額)」がまずあり、そこに「LLMのAPI利用料(従量課金)」が上乗せされる形が一般的です。

運用の手間は少ない反面、利用量が増えたときにボトルネックになりやすいのは、LLM従量やプラン上限、外部連携の制約などです。

まずは小さく始めて、利用状況が見えてきた段階で上位プランや別形態を検討しやすいのがメリットです。

② セルフホスト(Community / OSS)の特徴

セルフホスト(Community / OSS)は、「Dify本体は無料で使える」ことが多い反面、実際の運用ではインフラ費と運用工数が主役になりやすいのが特徴です。

サーバー(VPSやクラウドVM、オンプレ)、ストレージ、バックアップ、監視、セキュリティ対応などを自分たちで用意し、動かし続ける必要があります。

そのぶん自由度は非常に高く、データを自社環境に置きたい、ネットワークを閉じたい、独自の構成に寄せたい、といった要件にはフィットしやすいです。

反対に、運用体制がないまま始めると「動いたけど、更新や監視が追いつかず不安…」となりやすいので、最初に “どこまで面倒を見るか” を決めておくのが大切です。

③ 商用セルフホスト(Premium / Enterprise)の特徴

商用セルフホストは、セルフホストの自由度を保ちつつ、商用ライセンスやサポートを前提に運用する選択肢です。

ざっくり言うと、Premiumは「導入のしやすさ・運用の土台を整える」寄り、Enterpriseは「組織要件(統制・監査・SSOなど)に本格対応する」寄りになりやすい、と捉えると理解しやすいです。

費用は「ライセンス費+インフラ費+運用工数+LLM従量」という構造になりがちで、CloudやOSSより見積もりが大きくなりやすい一方、要件に合わせた設計や体制づくりがしやすくなります。

社内展開を前提にしたり、セキュリティ・監査の要求が強かったりする場合に、選択肢として現実味が出てきます。

Dify Cloudの料金プランと、向いている人

Dify Cloudは「まず動かす」までの速さが魅力で、Difyの料金(サブスク)も比較的読みやすいのが特徴です。

ここでは、Dify Cloudの代表的なプランと、運用時に“別途”発生しやすい費用ポイントを整理します。

Cloudのプラン概要と比較|Sandbox / Professional / Team

Dify Cloudの料金は、基本的に「ワークスペース単位の月額」として提示されています。

プランごとに、メッセージクレジットやチーム人数、作れるアプリ数、ナレッジ容量などの上限が変わるため、まずは差分をざっと把握しておくのが近道です。

以下は、公式の料金ページに記載されている主要項目を、比較しやすいように抜粋してまとめた表です(最新の数値は公式ページもあわせて確認してください)。

プラン月額メッセージ
クレジット
チーム人数アプリ数ナレッジ文書数ナレッジ容量ログ履歴APIリクエスト
Sandbox無料2001人5個5050MB30日5,000/月
Professional$595,000/月3人50個5005GB無制限無制限
Team$15910,000/月50人200個1,00020GB無制限無制限

Difyの公式ページ には「サブスク料金に税金は含まれない」旨の注意書きもあります。社内稟議などで “税込” の概算が必要な場合は、ここも見落としがちなので要チェックです。

ここまでを見ると、Dify Cloudの料金設計はかなり素直です。

どのプランでも、規模が大きくなるほど「チーム人数」「アプリ数」「ナレッジ容量」「処理優先度」などが伸びるので、“社内で複数人が触る” 段階に入るとTeamに寄せたくなる、という流れが起きやすいです。

Cloud利用で “別途かかる” 費用(LLM従量課金の考え方)

Dify Cloudの料金だけで運用費が完結するかというと、そこは注意が必要です。

Difyでアプリを動かすとき、裏側ではOpenAIやAnthropicなどのモデル(LLM)を呼び出すことが多く、この「モデル利用料」は基本的に従量で増えていきます(=使えば使うほど上がるタイプの費用です)。

イメージとしては、だいたい次の足し算で考えると見積もりがブレにくくなります。

月額コスト =(Dify Cloudのプラン料金)+(LLMの利用料)+(周辺運用コスト)

Dify Cloudはインフラ運用(サーバーや監視など)を自分で持たなくてよい分、周辺運用コストは小さくなりがちです。

その代わり、利用が伸びたときに効いてくるのは「LLMの従量」と「プラン上限(ナレッジ容量やクレジットなど)」の2つ、という整理になります。

特にDifyでRAG(ナレッジ検索)をする場合は、次のような使い方で従量が増えやすいです。

  • 長文の入力や、長い出力を頻繁に生成する
  • ナレッジ文書が増えて検索や埋め込み(embedding)が増える
  • チャットボットが社内外に広がってリクエスト数が増える

このあたりは「Difyの料金が上がる」というより、「モデル利用料が増える」方向で効いてくることが多いので、“従量の伸び方” は特に気にしておきましょう。

Cloudが向くケース/向かないケース

Dify Cloudは、Difyの料金体系が分かりやすく、運用も軽いため、最初の一歩として非常に選びやすいです。

反対に「データの置き場所」や「強いカスタマイズ要件」がある場合は、Cloud以外も視野に入ってきます。

向いているケースの例を挙げると、次のようになります。

  • とにかく早くPoC(価値検証)を回したい
  • 学習・検証から小規模運用まで、運用負担を増やしたくない
  • チームで共同開発・共同運用をしたい(人数や権限を整理したい)

一方で、向かない(または要検討になりやすい)ケースは次の通りです。

  • データを外部SaaSに置きにくい(社内規定・契約・監査要件など)
  • ネットワーク閉域やオンプレ前提など、インフラ要件が強い
  • 深いカスタマイズを前提にしていて、自由度を最優先したい

セルフホスト(Community Edition)は“無料”だが運用費が主役

セルフホスト(Community Edition)は、ざっくり言うと「Difyを自分のサーバーで動かす」選択肢です。

Difyのソフトウェア自体は無償で使い始めやすい一方、実運用ではサーバー代と運用の手間(=人件費)がじわじわ効いてきます。

ここでは「何を用意すれば動くのか」と「費用が膨らむポイント」を、見積もりの観点で整理します。

セルフホストで必要になるもの(構成要素の全体像)

セルフホストの第一歩は、「Difyは単体のアプリではなく、複数コンポーネントの集合体」という理解です。

起動すると、Dify本体に加えて、DBやRedis、ベクトル検索などの依存サービスも一緒に立ち上がります。

まずは全体像として、次のような役割があると覚えておくと見積もりしやすくなります。

  • コアサービス(例):API、ワーカー(非同期処理)、Web(管理画面)、プラグイン関連など
  • 依存コンポーネント(例):PostgreSQL(DB)、Redis(キャッシュ/キュー)、ベクトルストア(例:Weaviate)、Nginx、SSRF対策用プロキシ、Sandbox など

ポイントは、「Dify本体を動かす」だけではなく「周辺サービスも含めて安定稼働させる」必要があることです。

ここが、そのまま運用コストに跳ね返ってきます。

必ず見積もるべきコスト項目(インフラ+運用)

セルフホストの費用は、月額の “利用料” というより、インフラ固定費+保守運用の変動費で決まります。

最初は小さく始められても、利用が増えるほど「落ちない仕組み」「戻せる仕組み」が必要になり、そこにコストが乗ります。

見積もりで押さえる項目は、最低でも次の4カテゴリに分けると漏れにくいです。

  • インフラ費(固定費になりやすい)
    • サーバー(VPS/クラウドVM/オンプレ)、ストレージ、バックアップ領域
    • DB(自前PostgreSQL or マネージドDB)、ベクトルストア(自前 or マネージド)
  • セキュリティ・ネットワーク費(要件で増えやすい)
    • TLS、WAF/リバプロ、IP制限、SSRF対策、秘密情報管理
  • 運用品質のための費用(ツール+設計)
    • 監視(メトリクス/ログ/アラート)、ログ保存、障害対応手順、復旧訓練
  • 人件費(見えにくいけど効く)
    • アップデート対応、脆弱性対応、障害対応、定期メンテの工数

ここに加えて、Cloudと同様に「LLMの従量課金」は別枠で発生します。

セルフホストは “Difyのサブスクがない/小さい” 分、LLM従量+運用工数が主役になりやすいと考えておくと、予算感がズレにくいです。

補足として、Community Editionはオープンソースですが、ライセンスはApache 2.0をベースに追加条件がある形です。

商用利用や提供形態によって注意点が変わる可能性があるので、利用形態が大きい場合は一度ライセンス条文を確認しておくと安心です。

セルフホストが向くケース(判断基準)

セルフホストは「自由度が高い」ことが最大の魅力です。

逆に言うと、自由度の代償として “面倒を見る範囲” も増えるので、次のどれかに当てはまると選ぶ理由がはっきりします。

  • データを外部SaaSに置きにくい(社内規定・契約・監査の都合など)
  • ネットワーク閉域やオンプレ運用など、環境要件が強い
  • 構成・監視・セキュリティを自分たちで設計して最適化したい
  • ある程度の運用体制(保守担当、障害対応、アップデート)が確保できる

反対に、運用体制がまだ薄い段階だと「最初は動いたけど、更新が怖くて止められない」「障害時に誰も分からない」みたいな状態になりがちです。

この場合は、まずDify Cloudで価値検証を回して、要件が固まったタイミングでセルフホストに移るほうが結果的に安く済むケースもよくあります。

Dify Premium(商用セルフホスト)の費用感とCloud/Communityとの違い

Dify Premiumは、「セルフホストしたいけど、できるだけ手間は減らしたい」というときに検討されやすい選択肢です。

ざっくり言うと、Dify Cloudほどお手軽ではない一方で、Community Edition(OSS)より“導入の型”が用意されていて、運用を整えやすい立ち位置になります。

Premiumの位置づけ(何が楽になり、何が残るか)

まず前提として、Dify Premiumは Amazon Web Services 上で使うAWS AMI(EC2起動用のイメージ)として提供されています。

Premiumは「初期構築の面倒さ」を減らしてくれます。ただし、運用の責任が消えるわけではありません。

AWS上で動かす以上、インフラ面の管理(インスタンス、ネットワーク、バックアップ、監視など)は基本的に自分たち側に残ります。

加えて、Dify Premiumの説明として、Community Editionと比べて「優先メールサポート」と「ブランディングのカスタマイズ」が含まれる、という記載もあります。

費用の考え方(ライセンス+AWSインフラ)

Dify Premiumの費用は、Dify Cloudのような “月額プラン一発” ではなく、AWS Marketplaceの利用料(ソフトウェア)+AWSインフラ費で積み上がるのが特徴です。

AWS Marketplace の掲載ページでも、利用に応じた課金で、加えてAWSインフラの追加コストが発生しうること、そしてAWS Pricing Calculatorで見積もるよう案内されています。

AWS Marketplace上のDify Premiumは、インスタンスタイプごとに「Cost/hour」が表示されており、たとえばおすすめ(Recommended)の例として $0.30/時間が掲載されています。

この$0.30/時間は、月額に直すと「0.30×24×30=216」なので、ざっくり 約$216/月(31日なら約$223) というイメージになります。

もちろんこれは “ソフトウェア利用料” の部分で、ここにEC2本体の料金やストレージ、通信などが加算されます。

見積もりを作るときは、次のように分けて考えるとブレにくいです。

費用カテゴリ何に払う?増えやすいタイミング
Dify Premium
(AWS Marketplace利用料)
AMIのソフトウェア利用料
(時間課金や契約)
インスタンス稼働時間が増える/
台数が増える
AWSインフラEC2、EBS、ネットワーク、必要に応じてDB等ユーザー・トラフィック増、冗長化、ログ増
LLM従量課金OpenAI/Anthropic等のモデル利用料利用回数増、長文化、RAG運用の拡大
運用工数監視、アップデート、障害対応など“止められない”本番利用になった時

もう1点、Premiumには「7日間の無料トライアル」が明記されています。

PoCの立ち上げ段階では、ここをうまく使うと初期費用を抑えつつ適性判断がしやすいです。

また、365日契約で割引(最大34%)という表示もあるので、長期稼働前提なら「時間課金 vs 年契約」も比較対象になります。

Premiumがハマるケース

Dify Premiumは、「セルフホストのメリットは欲しいけど、Community Editionをゼロから自力で整えるのは不安」というときに、ちょうど良い落としどころになりやすいです。

公式ドキュメントでも、データレジデンシー(データを置く場所の要件)を気にする中小規模の利用や、Cloudのリソース枠を超えるケース、Enterprise導入前のPoCなどが挙げられています。

たとえば、次のような状況だとPremiumは検討価値が出やすいです。

  • 生成AIアプリをAWS上で運用したいが、まずは最短で形にしたい
  • SaaS(Cloud)にデータを置きにくいので、自社VPC内で完結させたい
  • 運用は自社で見られるが、導入の型やサポートも欲しい
  • 将来的にEnterpriseを視野に入れており、その前にAWSでPoCしたい

逆に言うと、Premiumは「運用がゼロになる」わけではないので、監視やバックアップ、アップデート手順などは最初から“誰がやるか”を決めておくと安心です。

Dify Enterprise(商用セルフホスト)の費用感と導入で変わること

Dify Enterpriseは、「とにかく大人数で使う」「監査や統制が厳しい」「クラウドSaaSに出せないデータがある」といった、企業利用の“難しい条件”に寄せたエディションです。

Dify Premiumよりも、セキュリティ・コンプライアンス・スケーラビリティを強く意識した説明になっていて、Kubernetes前提の提供である点も特徴的です。

ここでは、Enterpriseで何が変わるのか(=お金を払う価値が出るポイント)と、費用の見え方を整理します。

Enterpriseが求められる要件(典型例)

Enterpriseが “必要になる” のは、機能の豪華さよりも、運用とガバナンスの要件が先に立つケースです。

AWS Marketplace上の説明でも、規制産業や大企業向けに「セキュアでカスタマイズ可能、エンタープライズ対応」として整理されています。

たとえば、次のような条件があるとEnterpriseが選択肢に入りやすいです。

  • Kubernetes上で運用したい(公式Helm chartでのデプロイが前提)
  • 複数部署・複数組織での利用を想定し、マルチテナント管理が必要
  • SSO連携(SAML / OIDC / OAuth2など)を必須にしたい
  • アクセス制御を中央集権で管理し、二段階認証やMFAまで含めて統制したい
  • いざという時のサポート窓口や、必要ならSLA(合意された運用品質)まで交渉したい

言い換えると、「アプリを作る」だけでなく「止められない業務で運用する」段階に入ったときに、Enterpriseの意味が出てきます。

費用の見え方(契約型+インフラ+体制)

Dify Enterpriseの費用は、Dify Cloudのような月額プランというより、契約(期間・条件)で決まりやすいタイプです。

AWS Marketplaceの掲載では、契約条件に基づく価格で、12か月契約の例として「1年ライセンス $150,000」が表示されています。

この数字を月割りにすると、ライセンス部分だけで $12,500/月 くらいがひとつの目安になります(※あくまで表示例で、条件により変わります)。

さらに重要なのは、ここに AWSのインフラ費が別で乗る点です。

掲載ページにも「追加のAWSインフラコストが発生し得る」ことと、AWS Pricing Calculatorで見積もる案内があります。

EnterpriseがKubernetes前提になりやすい以上、インフラ側では以下のようなコストが見積もりに入りがちです。

  • Kubernetesクラスター運用(ノード、オートスケール、冗長化)
  • ストレージ、バックアップ、ログ保管
  • 監視・アラート、セキュリティ対策(要件次第で増える)
  • そしてどの形態でも共通の「LLM従量課金」

また、AWS Marketplace側には「Private offer(個別見積もり)」をリクエストできる導線もあるため、実際は要件(ユーザー数、テナント数、サポート範囲、SLAなど)で条件が変動する前提で考えるのが安全です。

Enterpriseを選ぶべき判断ポイント

Enterpriseは、金額だけを見ると一気にハードルが上がります。

ただ、そのぶん「統制された運用」と「大規模利用」を前提にした作りになっているので、合う要件では“結果的に安くつく”こともあります(事故対応や属人運用のコストが減るためです)。

判断の目安としては、まず次のどれかに当てはまるかをチェックすると早いです。

  • 組織横断で使う前提で、マルチテナントや厳格な権限設計が必要
  • SSO(SAML/OIDC/OAuth2)やMFAを必須要件として求められている
  • Kubernetesでの本番運用が前提で、公式Helm chartベースで統制したい
  • 有事の優先サポートや、必要ならSLAまで含めて運用品質を担保したい

逆に、利用規模がまだ小さくて「まず価値検証」「チーム内で小さく回す」段階なら、CloudやPremium、あるいはCommunityで十分なことも多いです。

ここは “機能の多さ” より、“運用要件の強さ” で決めるのが失敗しにくいですね。

運用費を左右する “見落としがちなコスト” チェックリスト

Difyの運用費は、プラン料金やライセンス費だけでは読み切れません。

実際には「使えば使うほど増える従量」と「運用を安定させるための固定費・工数」が、あとから効いてきます。

この章では、特に見落としがちなコスト要因をチェックリスト形式で整理します。

自分の運用に当てはめて「どこが膨らみそうか」を先に把握しておくと、予算のブレがかなり減ります。

LLM従量課金(生成+埋め込み+再ランキング)

LLMの料金は「リクエスト回数」だけでなく、入力・出力の長さ(トークン量)にも強く影響されます。

さらにRAGを使うと、埋め込み(embedding)や再ランキングなど、生成以外の処理でもコストが積み上がります。

まずは、次の項目を確認しておくのがおすすめです。

  • チャット1回あたりの平均トークン量(入力/出力が長文化していないか)
  • 参照コンテキスト(検索結果や履歴)を何件・何文字入れているか
  • embeddingの呼び出し頻度(初回取り込みだけか、更新時に再計算しているか)
  • 再ランキング(rerank)を常に使っているか、条件付きか
  • 使うモデルが固定か、用途で切り替えられる設計か(高性能モデルの出番が多すぎないか)

運用で効きやすい節約ポイントとしては、「コンテキストを必要以上に詰め込まない」「用途でモデルを切り替える」「回答を長くしすぎない(要点優先)」あたりが、手触りとして効果が出やすいです。

RAG運用(データ更新・再インデックス・品質改善)

RAGは“作って終わり”ではなく、運用しながら育てる要素が強いです。

その結果、データの更新や品質改善が増えるほど、計算資源と人の作業が少しずつ増えていきます。

見積もりで抜けやすいのは、次のような項目です。

  • ナレッジの更新頻度(毎日更新なのか、月次なのか)
  • 追加・更新時の処理(再取り込み、再embedding、再インデックス)がどこまで走るか
  • チャンク分割(粒度)によるデータ量の増加(細かすぎると件数が爆増しがち)
  • 検索品質の改善作業(ヒットしない、誤回答が出る→チューニングが必要)
  • “正解データ”のメンテ(FAQやルールを誰が、どの頻度で直すか)

RAGの運用コストは「計算」より「品質維持の手間」で膨らむことが多いです。

最初から完璧を目指すより、問い合わせが多い領域から段階的に整備するほうが現実的です。

ログ・監視・可観測性(保存費+ツール費)

本番運用に入ると、障害調査や監査対応のためにログ・監視はほぼ必須になります。ただし、ログは放っておくと保存量が増え続け、ツール費も地味に効いてきます。

最低限、次をチェックしておくと安心です。

  • ログ保存期間(何日/何か月保管が必要か)
  • どのログを残すか(アプリログ、アクセスログ、LLM呼び出しログ、監査ログなど)
  • 監視の範囲(死活監視だけか、遅延・エラー率・キュー詰まりまで見るか)
  • アラートの設計(誰に通知し、どのレベルで起こすか)
  • 個人情報や機密情報がログに混ざるリスクとマスキング方針

コスト面では「ログは全保存」よりも、「重要な指標を絞る」「保存期間を用途別に分ける」だけで、運用費が安定しやすいです。

セキュリティ(WAF/秘密情報管理/監査ログ)

セキュリティ対策は、要件が強いほど “後から追加” になりがちで、そのときに費用も工数も増えます。

特にセルフホストやPremium/Enterpriseでは、ここが運用コストの大きな差になります。

確認しておきたい項目は次の通りです。

  • 入口対策(WAF、レート制限、IP制限、Bot対策)
  • 認証・権限(SSO、ロール設計、退職者の権限剥奪フロー)
  • 秘密情報管理(APIキー、DBパスワードの保管とローテーション)
  • 脆弱性対応(アップデート方針、依存パッケージの監査)
  • 監査ログの要件(誰がいつ何をしたか、どれだけ保持するか)

「必要になってから整える」と、設計のやり直しが起きやすい領域です。最初に“最低限のライン”だけでも決めておくと、後半の手戻りが減ります。

人件費(保守・当番・障害対応・アップデート)

最後に一番見落とされやすいのが、人件費です。これは請求書に直接出にくいのですが、運用が伸びるほど確実に効いてきます。

現実的には、次の作業が継続的に発生します。

  • 障害対応(原因調査、暫定対応、恒久対応、再発防止)
  • 定期アップデート(Dify本体、DB、ベクトルストア、OSなど)
  • 運用改善(コスト監視、品質改善、プロンプトや設定の更新)
  • 社内問い合わせ対応(使い方、権限、データ追加、権限申請など)

見積もりでは「月に何時間運用に割けるか」「オンコールが必要か」「担当が属人化しないか」を、ざっくりでも数字にしておくと判断しやすいです。

まとめ

Difyの費用は「プランの月額」だけで決まるのではなく、基本的に次の足し算で考えるとブレにくくなります。

月額コスト =(Dify利用料/ライセンス)+(LLM従量課金)+(インフラ費)+(運用工数)

どの形態を選ぶ場合でも、LLM従量(トークン量)とRAG運用(更新・品質改善)がコストを押し上げやすいポイントです。

まずは小さく始めて、利用ログや運用負荷を計測しながら、自分のユースケースに合う形へ段階的に移行するのが、一番失敗しにくい進め方でしょう。

Difyの教科書|生成AIアプリ開発の基礎から実践まで

現在、当サイトではDifyを用いた生成AIアプリ開発の学習カリキュラムを制作中です。

完全な素人でもアプリを作れるようになり、業務の効率化や副業での小遣い稼ぎに活用できることを目指します。

ご期待ください^^

記事URLをコピーしました