【Dify】Lesson2-5:Difyの5つのアプリタイプの違いと選び方

Difyで生成AIアプリを作り始めると、最初に必ず出てくるのが「アプリタイプ、どれを選べばいいの?」問題です。
チャットボット?エージェント?それともチャットフローやワークフロー?――名前が似ていて、初見だと迷いやすいですよね。
結論から言うと、Difyのアプリタイプは「作りたい体験(会話中心か/処理自動化中心か)」と「設計の複雑さ(単発か/複数ステップか)」で選ぶのがいちばんスムーズです。
逆に、ここが曖昧なままだと、後から作り直しになりがちです。
この記事では、Difyの5つのアプリタイプ(チャットボット、テキストジェネレーター、エージェント、チャットフロー、ワークフロー)について、特徴と違いを整理し、あなたの目的に合う選び方までつなげます。
まずは最初の章で「そもそもアプリタイプとは何か」を、分かりやすく地図化していきます。
Lesson1:Dify入門|環境構築と最初の生成AIアプリ開発
Lesson2:まずは体験|基本的なアプリを作ろう
・Lesson2-1:テキストジェネレーターアプリの基本
・Lesson2-2:エージェントアプリの基本
・Lesson2-3:チャットフローアプリの基本
・Lesson2-4:ワークフローアプリの基本
・Lesson2-5:5つのアプリタイプの特徴と違いまとめ ◁今回はここ
・Lesson2-6:良いプロンプトの書き方
Lesson3:文章業務を自動化するアプリを開発しよう
Lesson4:ファイル処理で広がるDifyアプリ開発
Lesson5:RAG実践|ナレッジ検索アプリを作ろう
Lesson6:機能拡張と外部システム連携|ツールを使いこなそう
Lesson7:総仕上げ|実践投入への準備
Difyのアプリタイプとは?5種類ある理由と全体像
Difyのアプリタイプは、ひとことで言うと「AIアプリの見た目(体験)と作り方(設計の入口)を決めるテンプレート」です。
何を作りたいかに合わせて、最初から “向いているUIや構成” を選べるように、5種類が用意されています。
主要2タイプ(Workflow/Chatflow)+基本3タイプ(Chatbot/Agent/Text Generator)
Dify公式では、「Workflow」か「Chatflow」を選ぶのがおすすめ、と整理されています。
一方で、よりシンプルに始められる基本タイプとして「Chatbot」「Agent」「Text Generator」も用意されています。
ここで大事なのは、5種類がバラバラに存在しているというより、「しっかり作り込む2タイプ」と「手軽に始める3タイプ」という役割分担がある、という点です。
次の表は、そのイメージを掴むための“ざっくり俯瞰”です。
細かい違いは後の章で深掘りしますが、まずはこの段階で「自分の作りたいものはどっち寄り?」が見えると、迷いが一気に減ります。
| アプリタイプ | 区分 | ざっくり何に向く? | 作り方の特徴 |
|---|---|---|---|
| Chatflow | 主要:しっかり作り込む | 会話をしながら条件分岐・手順を進めたい | 会話シナリオを“フロー”で設計する |
| Workflow | 主要:しっかり作り込む | 生成+前処理/後処理などを自動化したい | 複数ステップの処理を“ノード”で組む |
| Chatbot | 基本:手軽に始める | Q&Aや案内など、会話中心の窓口 | シンプルなチャット体験から開始 |
| Agent | 基本:手軽に始める | ツールを使って動的にタスクを進めたい | 依頼に応じて実行寄りに動ける |
| Text Generator | 基本:手軽に始める | 1回入力して文章を作る(要約/翻訳/生成) | “単発生成”に寄せた体験 |
同じ基盤でも「UIと設計思想」が違う
混乱しやすいポイントですが、Difyの5タイプは「中身が完全に別物」というより、土台は共通で、その上のインターフェースが違うイメージです。
公式ドキュメントでも、Workflow/Chatflowを推奨しつつ、Chatbot/Agent/Text Generatorは“よりシンプルな(従来型の)UI”として提供されている、という説明があります。
また、技術的な見方をすると、Chatbot/Agent/Chatflowは「チャットベースのアプリ」として同じ入出力の枠組みを共有し、Workflowは別のインターフェース、Text Generator(Completion/テキスト生成)も別のインターフェース、という整理がされています。
つまり、Difyのアプリタイプは「目的に合う入口を用意して、最短距離で作れるようにしている」仕組みだと思うと分かりやすいです。
最初は基本3タイプで形にして、複雑な分岐や自動化が必要になったらChatflow/Workflowに寄せる、という進め方も自然です。
選び方の判断軸3つ|会話/処理・単発/複数ステップ・ツール実行
選び方の地図として、最低限ここだけ押さえておくと理解が速いです。
- 会話を前提にした体験か?(チャット中心ならChatflow/Chatbot/Agent寄り)
- 単発の生成で完結するか?それとも複数ステップの処理が必要か?(複数工程ならWorkflow/Chatflow寄り)
- 外部ツールを使って“実行”までさせたいか?(必要ならAgent寄り)
5タイプ比較表:入出力・得意分野・ユースケースで一発判定
ここからは、5つのアプリタイプの違いを「選ぶための視点」に絞って整理します。
細かな設定項目を覚える前に、まずは “どれが自分の目的に近いか” を短時間で見分けられるようにしていきましょう。
最初に、比較の土台として「入出力の形(チャットか、単発入力か)」「フロー設計の必要性(複数ステップか)」「ツール実行の強さ(外部連携や自動化)」の3点でまとめます。
Dify公式でも、Workflow/Chatflowを主要タイプとして位置づけ、そこに基本3タイプが並ぶ形で整理されています。
次の表は、その全体像を “見比べる” ための早見表です。
あとで各タイプを詳しく解説しますが、まずはこの表を見て「自分の作りたい体験はどれに近いか」を掴んでください。
| アプリタイプ | 入出力の基本 | 得意なこと | 典型ユースケース | 迷った時の判断基準 |
|---|---|---|---|---|
| チャットボット (Chatbot) | 会話(チャット) | 相談・Q&A・案内など、自然な対話で回答する | FAQ、社内ヘルプ、問い合わせ一次対応 | 「会話できればOK」「まず最短で公開したい」ならこれ |
| テキストジェネレーター (Text Generator) | 単発入力→単発出力 | 1回の入力で文章を生成・整形する | 要約、翻訳、定型文、記事下書き | 「会話はいらない」「1ショットで完結」ならこれ |
| エージェント (Agent) | 会話(チャット) | 状況に応じて考えながらタスクを進める(ツール実行も含む) | 調査→整理→提案、外部APIを使う実行系 | 「やることが固定じゃない」「探索しながら進めたい」ならこれ |
| チャットフロー (Chatflow) | 会話(チャット)+フロー | 会話の手順・分岐を設計して、安定した対話体験を作る | ヒアリング→分岐→提案、受付、診断、接客導線 | 「会話は必須」「会話を手順化したい」ならこれ |
| ワークフロー (Workflow) | 入力→処理→出力 (非チャット中心) | 複数ステップ処理の自動化・再現性の高いパイプライン | 前処理→生成→後処理、通知、外部連携、業務自動化 | 「会話より処理」「工程が複数ある」ならこれ |
よくある質問(FAQ)
ここでは、Difyのアプリタイプ選びで特につまずきやすいポイントを、実務目線でまとめて解消します。
読んでいる途中で「結局どっち?」となったら、この章だけ先に見てもOKです。
ChatflowとWorkflowの違いは?どっちを選ぶべき?
一言でいうと、Chatflowは「会話の手順を設計するもの」、Workflowは「処理の工程を自動化するもの」です。
どちらも“複数ステップ”を扱えますが、主役が「会話」なのか「処理」なのかが決定的に違います。
違いがパッと分かるように、判断に必要な観点だけ表にまとめます。
| 観点 | Chatflow(チャットフロー) | Workflow(ワークフロー) |
|---|---|---|
| 主役 | 会話の流れ(ヒアリング→分岐→提案) | 処理の流れ(前処理→生成→後処理→連携) |
| ユーザー体験 | チャットでやり取りしながら進む | 依頼すると裏で処理が進み結果が返る(非会話中心) |
| 得意な用途 | 受付、診断、接客導線、対話型アシスタント | 業務自動化、定型処理、データ加工、通知・連携 |
| 設計の勘所 | 分岐条件、聞く順番、会話の再現性 | 工程分割、失敗時の扱い、再実行・保守性 |
| 迷ったら | ユーザーに質問しながら決めたい → Chatflow | 手順が決まっていて自動で回したい → Workflow |
迷ったときは「ユーザーが途中で何度も話す必要があるか?」で決めるのが簡単です。
会話が中心ならChatflow、会話は最小で裏側の工程をしっかり組みたいならWorkflowが向きます。
Chatbot/Agent/Text Generatorは使わないほうがいい?
そんなことはありません。
むしろ最初のPoCや小さく始める段階では、基本3タイプ(Chatbot/Agent/Text Generator)が最短ルートになることも多いです。
考え方としては、「すぐ形にするための入口」と「本番運用を見据えて作り込む入口」が両方ある、というイメージです。
たとえば、まずChatbotで問い合わせ窓口を作って反応を見てから、分岐が増えてきたタイミングでChatflowに移す、という進め方はかなり現実的です。
途中でアプリタイプを変更・移行できますか?
運用上の感覚としては、「タイプをワンクリックで完全変換」というより、「別アプリとして作り直しつつ、設計資産を流用する」ケースが多いです。
特にChatflowやWorkflowは構造がはっきりしている分、途中から載せ替えるというより、目的に合わせて作り直したほうが結果的に早いことがあります。
ただし、ムダになるわけではありません。移行時に流用しやすいものを先に押さえておくと楽です。たとえば、次のような要素は再利用しやすいです。
- システムプロンプト(役割・口調・制約)
- ナレッジ(ドキュメント整備、参照の方針)
- 入出力のフォーマット設計(JSONで返す、箇条書きで返す等)
- 評価観点(良い回答の条件、NG例)
最初から「将来移行するかも」と思うなら、プロンプトとナレッジを丁寧に作っておくのが保険になります。
Agentの使いどころと運用注意点|コスト・品質ブレ・ガードレール
Agentが輝くのは、「手順が固定できない」「調べながら進める」「ツールを呼び出して実行したい」といった “動的なタスク” です。
一方で、自由度が高い分、運用ではコストと品質ブレへの備えが重要になります。
特に押さえたい注意点は、次の3つです。最初から全部やらなくてもいいので、まずはガードレールを意識すると安全です。
- 実行範囲を決める(できること/やらないこと)
- 失敗時の挙動を決める(追加質問する、手動確認に回す等)
- ログと評価の仕組みを用意する(改善できる状態にする)
「処理は固定できるのにAgentを使っている」状態だと、むしろ不安定になりがちです。
その場合はWorkflow化したほうが安定することも多いです。
まとめ:迷ったら「会話か処理か」「単発か複数ステップか」で選ぶ
Difyのアプリタイプは、ざっくり言えば「会話中心か」「処理自動化中心か」「単発か複数ステップか」で選ぶと迷いません。
特に、会話の手順を設計したいならChatflow、工程を自動化したいならWorkflowが軸になります。
最後に要点だけ、短くまとめます。
- 会話を設計して安定させたい:Chatflow
- 複数工程の処理を自動化したい:Workflow
- まず小さく始めたい:Chatbot/Text Generator/Agent(目的に合わせて)
この整理をベースにすると、「どれで作るべきか」だけでなく、「いつ作り替えるべきか」も判断しやすくなります。


