【業務自動化】チャプター1-1|openpyxlのインストールと初期設定
「Excel自動化学習:Chapter1」では、Python初心者でも「Excelの簡単な作業をPythonで自動化できる」状態を最短で目指します。
第1章であるこの記事では、openpyxl というPythonの標準ライブラリのインストール&動作確認手順を丁寧に解説。
Excelは普段から使っており、Pythonの基礎も習得済み――そんな方を想定しています。
もしまだPythonの基礎を習得していない場合は、このサイトでは全て無料で学習できるので、まずはPythonの学習から始めましょう↓↓
Chapter1:PythonでExcelを操作しよう
・Chapter1-1:openpyxlとは何か|インストールと動作確認 ◁今回はここ
・Chapter1-2:PythonでExcelファイルを作成しよう
・Chapter1-3:Excelシートからデータを読み込もう
・Chapter1-4:Excelシートにデータを書き込もう
・Chapter1-5:データを新規シートへ自動振り分けしよう
・Chapter1-6:簡単なExcel自動化を体験しよう
Chapter2:PyInstallerで自動化ツール(.exe)を作ろう
Chapter3:ファイル・フォルダを操作しよう
Chapter4:メール送信を自動化しよう
Chapter5:Webスクレイピング
openpyxlとは|Excel自動化する基本とVBAとの違い
openpyxlは、PythonからExcelの.xlsx/.xlsmファイルを読み書き・編集するための定番ライブラリです。
PCにExcelが入っていなくても動作し、Windows・macOS・Linuxで利用できます。
openpyxlを使用することで、ルーチン作業(集計・整形・転記など)をコード化できるため、手作業のミスや作業時間を大幅に削減できるようになります。
openpyxlで何ができるのか|主な機能のイメージ
openpyxlはExcelブックやシート、セルの操作を中心に、よく使う事務作業を自動化できます。
以下に代表的な機能をまとめます。
- 新規ブック/シートの作成、既存ファイルの読み込み・保存
- セルの値・数式の読み書き、書式設定(フォント、罫線、色、列幅・行高)
- 行/列の挿入・削除、セル結合、オートフィルター、ウィンドウ枠の固定
- 条件付き書式、データ検証(プルダウンの設定)
- テーブルやグラフの作成、画像の貼り付け
- 大量データの高速書き出し(書き込み専用モードの活用 など)
そして、Chapter2以降で学習するPyInstallerなどを使いこなすと、最終的に以下のようなことができるようになります。
- 日次レポートの完全自動化:Webからデータ取得 → openpyxlでテンプレに反映・グラフ更新 → メールに自動添付して自動送信。
- フォルダ監視型の集計業務:指定フォルダに置かれた複数のExcelを読み込み → 1冊に統合 → テーブル化・条件付き書式適用 → 完了ファイルを出力。
- 帳票の一括生成・配布:部署別や顧客別にテンプレへ差し込み → ファイル名規則で連番出力 → ZIP化や配布先フォルダへ自動仕分け。
- バッチ実行&配布:PyInstallerで実行ファイル化(.exe等)し、Python未導入のPCでもワンクリック実行。社内共有や引き継ぎが容易に。
このレベルに到達すると、「毎朝の手作業60分」が0分になり、属人化した “あのExcel作業” を誰でも再現できる仕組みへ置き換えられます。
ポイントは「データを集める → 整形する → 配る」を自動でできるようになるということです。
使い始める前に知っておきたい制限
万能に見えるopenpyxlにも、得意不得意があります。
事前に把握しておくと、設計ミスを避けられます。
- .xls(旧形式)は直接扱えない:基本は.xlsxに保存してから操作
- 計算はしない:数式は書けますが再計算はExcel側の役割
- VBAは実行できない:.xlsm内のマクロは保持できるが、動かすのはExcel
VBA(マクロ)と比較|まずはopenpyxlを選ぶべき理由
Excel自動化の手段としてはVBA(マクロ)が有名ですが、当サイトではopenpyxlを選択することを推奨します。
同じ “Excel自動化” でも、実務での安定運用・拡張性・配布のしやすさを総合すると、基本的にはopenpyxlの方が優れています。
Excelアプリに依存せず、Windows/Macのどちらでも動き、Web/APIやメール送信、ファイル操作などExcelの外側まで含めた業務フロー全体をPython一つで完結できるからです。
観点 | openpyxl(Python)推奨ポイント | VBA(Excelマクロ) |
---|---|---|
実行環境 | Excel不要・クロスプラットフォームで安定 | Excel必須・主にWindows依存 |
外部連携 | Web/API/DB/メール/スクレイピング等と自在に統合 | 連携は限定的・実装難度が上がりがち |
配布・運用 | スクリプト配布やPyInstallerで実行ファイル化が容易 | ブック配布中心・マクロ警告やポリシー制約が障壁 |
セキュリティ | マクロ制限の影響を受けにくい | 組織ポリシーでブロックされやすい |
大量データ | バッチ処理・並列化・他ライブラリ活用が得意 | ExcelのUI前提で重くなりやすい |
テスト/保守 | Pythonのテスト基盤とGit運用がしやすい | テスト自動化や差分管理が相対的に難しい |
Excel画面上でのボタン1つの簡易操作や、既存のExcel機能(フォーム・アドイン)に深く依存するケースではVBAのほうが手早いこともあります。
一方で、レポート自動作成・データ統合・定時メール配信のように「集める→整形→配る」までの「大きな自動化」をするなら、openpyxl+Pythonが適しています。
openpyxlの弱点はツール作成時に「Pythonの基礎知識が必要」である点のみです。
この学習コストを許容できるのであれば、openpyxlを選択しましょう。
インストールする前に確認するべきこと
この節ではopenpyxlを入れる前段階として、Python本体が動くか、そしてパッケージ管理ツールであるpipが使えるかを確認します。
ここでつまずくと以降すべての手順が進まないため、最初に環境を確実に整えておきましょう。
確認は3ステップ──「ターミナルを開く → Pythonのバージョン確認 → pipのバージョン確認」です。
1) ターミナル/コマンドプロンプトを開く
まずは “コマンドを実行する画面” を開きます。
WindowsならコマンドプロンプトまたはPowerShell、macOSならターミナルです。社内PCでも基本的に開けます。
- Windows:スタートメニューで「cmd」または「PowerShell」と検索して起動
- macOS:Launchpad → その他 → ターミナル(Spotlightで「terminal」検索でもOK)
2) Pythonが入っているか(バージョン)を確認
次に、Pythonが正しく呼び出せるかを確認します。
コマンドプロンプトかターミナルに以下のコードを打ち込み、実行しましょう。
OSやセットアップによってコマンド名が異なるため、上から順に試してください。
# Windows(Pythonランチャーが入っている場合) py --version # 共通(Windows/macOS) python --version # macOSでよく使う呼び出し方 python3 --version
正しくPythonが入っていれば、例えば以下のように出力されるはずです。
Python 3.11.6
表示される数字は環境によって異なりますが、基本的に3系(3.x)であれば本講座は進められます。
何も表示されない/エラーになる場合は、Pythonが未インストールかPATH設定に問題がある可能性があります。
3) pipが使えるか(バージョン)を確認
openpyxlのインストールにはpipを使います。
先ほどと同様に、コマンドプロンプトかターミナルに以下のコードを打ち込みましょう。
# 最も確実な呼び方(Pythonに紐づくpipを明示) python -m pip --version # WindowsのPythonランチャー経由 py -m pip --version # 直接呼べる場合(環境により pip3 のことも) pip --version pip3 --version
正しくpipが使用できる場合は、例えば以下のように出力されます。
pip 24.2 from .../site-packages/pip (python 3.11)
カッコ内のpython 3.xxの数字が、先ほど確認したPythonのバージョンと一致しているかもチェックしましょう。
仮想環境(venv)を使う予定の方は、以降もpython -m pip
の形式で進めると、Pythonの取り違えを防げます。
【初心者向け】openpyxlのインストールと動作確認
この章ではopenpyxlをインストールと動作確認を行います。
手順1:openpyxlをインストールする(pip)
まずはpipでopenpyxlを導入します。
WindowsでPythonランチャーを使っている方は2行目のコマンドでもOKです。どちらか一方を実行してください。
pip install openpyxl # WindowsのPythonランチャー経由の場合 py -m pip install openpyxl
手順2:インストールできたかを確認する(pip list)
次に、openpyxlがインストール済みかを一覧表示で確認します。
以下のコードを打ち込んで実行しましょう。
pip list
実行結果の中にopenpyxl
の行があれば正常にインストールされています。
最後に、実際にライブラリを読み込み、新しいExcelブックを作成できるかを試しましょう。
以下のコードはopenpyxlを使って実際にExcelを操作するコードの一部です。
import openpyxl # openpyxlをインポート new_book = openpyxl.Workbook() # Workbookのインスタンスを作成 print(new_book.sheetnames) # シート名の一覧を表示(例:['Sheet'])
このコードを実行し、結果として [‘Sheet’] などと出力されればopenpyxlが正しく動作したと言えます。
このコードの意味は今後学習していくとして、まずは動作することを確認しましょう。
まとめ|Excel自動化の準備完了
openpyxlのインストールと動作確認まで終えた今、あなたのPCはPythonでExcelを自在に操れる状態になりました。
手作業で行っていた転記や整形、集計は、これから再現可能なスクリプトへと置き換えられます。
大切なのは「コードを書いて終わり」ではなく、業務の結果を安定して出せる仕組みにしていく視点です。
この先の学習では、ブック/シートの基礎操作から読み込み・書き込み、コピペ自動化、そして小さな自動化フローの構築へと進みます。
準備は整いました。
次の節からは、実際のExcelファイルを操作しながら「手作業→コード」の変換思考を身につけていきます。
今日のあなたの10分が、明日の1時間を生み出します。さあ、次へ進みましょう。