Flask学習|初心者向けエラーと対処法ガイド【チャプター6-01】

一つ前のチャプターではデータベースについて学習しました。
今回からは エラーハンドリングとデバッグ について見ていきましょう。
Chapter1:Flask入門編
Chapter2:Jinja2入門編
Chapter3:フィルター編
Chapter4:フォーム編
Chapter5:データベース編
Chapter6:エラーハンドリングとデバッグ編
・Chapter6-1:Flaskでよくあるエラー集と対処法 ◁今回はここ
・Chapter6-2:エラーハンドリングの基本
・Chapter6-3:カスタムエラーページを作ろう
・Chapter6-4:ログを出力してデバッグしよう
・Chapter6-5:デバッグモードを活用しよう
・Chapter6-6:Flask-DebugToolbarを使おう
Chapter7:アプリ開発編
Flaskでの開発を始めたばかりのとき、「思ったように動かない」「エラーがたくさん出て先に進めない」と感じる方は少なくありません。
ですがそれは誰もが通る道であり、むしろエラーをきっかけに学ぶことで理解が深まるものです。
この記事では、Flask初心者が最初につまずきやすい典型的なエラーと、その原因と解決方法についてわかりやすく解説します。
あわせて Traceback の読み方も紹介し、エラーに対して「怖がらずに冷静に向き合える力」を身につけてもらうことを目指します。
- その他のエラー(SyntaxError, NameErrorなど)
- Tracebackとは何か?どう読むのか?
- ImportErrorの原因と対処法
- ModuleNotFoundErrorの原因と対処法
- Flaskのバージョンによる非互換の原因と対処法
- Pythonのバージョンによる構文エラーの原因と対処法
- IndentationErrorの原因と対処法
- その他のよくあるエラー
本記事は 有料記事(100円)ですが、現在は期間限定で無料公開中です。
Tracebackの読み方|エラーメッセージを正しく理解しよう
Tracebackの役割とは?
Traceback
(トレースバック)とは、エラーが発生したときにPythonが出力するエラーメッセージの一覧のことです。
どのファイルの何行目で、どのようなエラーが発生したかを表示してくれます。
Tracebackの構造と読み方の基本
Traceback (most recent call last): File "app.py", line 5, in <module> print(x) NameError: name 'x' is not defined
- 最後の行がエラーの種類とメッセージ
- その直前がどのファイルの何行目で起きたか(line 5 なら5行目にエラーあり)
- 上から順に「どの関数から呼び出されたか」がスタックのように積まれています
重要なのは一番下の行。ここに原因が書かれています。
ここから、初心者がやりがちなエラーとその対処法を一つずつ解説していきます。
ImportErrorの原因と解決ステップ|Flask初心者がよく遭遇するエラー対策
ImportErrorとは何か?
他のモジュールを読み込む際に、Pythonが「指定された名前のモジュールが見つかりません」と判断した場合に発生します。
ミスの例:
import flask_login
表示されるエラー:
ImportError: cannot import name 'login_user' from 'flask_login'
原因パターン一覧
- モジュールのインストール漏れ
- モジュール名や関数名のスペルミス
- バージョン違いによるAPIの変更
解決に向けた具体的な方法
- モジュールがインストールされているか確認
- 正しい関数・クラス名か公式ドキュメントを確認
ModuleNotFoundErrorの原因と解決方法|モジュール未検出の対処ガイド
ModuleNotFoundErrorとは?
ImportError
の一種で、「指定したモジュールそのものが見つからない」ときに発生します。
ミスの例:
import mymodule
表示されるエラー:
ModuleNotFoundError: No module named 'mymodule'
原因パターン一覧
- モジュールが未インストール
- 仮想環境に入っていない
- モジュールファイルがパス上に存在しない
解決に向けた具体的な方法
- 仮想環境を有効化してからPythonを実行
- モジュールのインストール確認
- カレントディレクトリに対象ファイルがあるか確認
Flaskバージョン違いによるエラーの原因と対処法
Flaskのバージョンによる非互換とは?
Flaskのメジャーバージョン(特に3.0以降)では、従来使えていた関数や機能が別モジュールに移動したり、削除されたりしています。
そのため、Flask 2.x 向けに書かれたコードを Flask 3.x で実行すると、ImportErrorやAttributeErrorが発生することがあります。
表示されるエラー:
ImportError: cannot import name 'escape' from 'flask'
原因パターン一覧
- Flask 3.0以降では
escape
,Markup
,safe_join
などの関数がmarkupsafe
やwerkzeug
など別モジュールに移動した - チュートリアルや教材が古いFlaskバージョンを前提にしている
- Flask 2.xで書かれたコードをそのまま使っている
解決に向けた具体的な方法
- 使用中のFlaskのバージョンを確認:
pip show Flask
- 古いコードを使う場合、Flaskのバージョンを固定してインストール:
pip install Flask==2.3.3
Pythonのバージョンによる構文エラーとは?互換性の落とし穴と対策法
Pythonのバージョンによる構文エラーとは?
Pythonはバージョンによって使える構文や機能が異なります。
新しい構文を使っているのに、Pythonのバージョンが古い場合、SyntaxError
が発生してコードが動かなくなります。
表示されるエラー:
SyntaxError: invalid syntax
原因パターン一覧
:=
(ウォルラス演算子)は Python 3.8以上 でしか使えないmatch
文(構造的パターンマッチ)は Python 3.10以上- 公式サイトや書籍のコードをそのままコピペして動かしたら、Pythonバージョンが合わなかった
解決に向けた具体的な方法
- 現在のPythonバージョンを確認:
python --version
- 必要であればPythonをアップグレード(例:pyenvや公式インストーラを使用)
- 古いバージョンで動かしたい場合は、構文を互換性のある形に書き換える:
IndentationErrorの原因と対処法
IndentationErrorとは?
Pythonではインデント(字下げ)で処理のまとまりを表現します。
そのため、インデントに不正があると実行できません。
ミスの例:
def hello(): print("Hello")
表示されるエラー:
IndentationError: expected an indented block
よくある原因
- 半角スペースとタブの混在
- インデントの深さが一致していない
- インデント忘れ
対処法
- エディタ設定でタブではなくスペースを使う(一般的にスペース4つ)
- VSCodeなどでは「インデントを可視化する設定」をONにする
その他のよくあるエラー
以下のエラーもよく発生します。概要と対処法を簡単にまとめます。
エラー名 | 説明例 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|---|
SyntaxError | print("Hello | カッコ閉じ忘れなど | 文法確認 |
NameError | print(name) | 変数未定義 | 定義漏れの確認 |
TypeError | len(5) | 型の不一致 | 型の確認 |
まとめ
この記事では、Flask初心者がつまずきやすい以下のエラーとその対処法を学びました。
エラーは「失敗」ではなく理解を深める絶好のチャンスです。
これからもエラーを恐れず、「なぜ起きたのか?」を読み解く力を身につけていきましょう!
FAQ|Flaskのエラー対処で初心者がよく悩むポイント
- Q1. Tracebackを見ても、どこが悪いのか分かりません。どこに注目すればいいですか?
-
最後の行に書かれているエラーの種類とメッセージが最も重要です。また、その直前に書かれているファイル名と行番号を確認することで、コードのどこでエラーが起きたかを特定できます。
- Q2. FlaskのチュートリアルをコピペしただけなのにImportErrorが出ます。なぜですか?
-
モジュールのインストール漏れや、使用しているFlaskのバージョンがチュートリアルと違う可能性があります。使用している環境のFlaskバージョンを確認し、必要なモジュールがインストールされているかをチェックしましょう。
- Q3. ModuleNotFoundErrorが出るのは、どんなときですか?
-
指定したモジュールが環境内に存在しない場合に出ます。特に仮想環境を使っていると、別環境にモジュールがインストールされているケースが多いため、今使っている環境で
pip list
を確認してみましょう。